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第22回 学研ほたるキャンペーンに寄せて


大場信義 「ほたるキャンペーン2018」考察コメント 大場信義(全国ホタル研究会名誉会長)

昨年度、20周年ということで大人が参加できる「ほたる川柳企画」を入れて実施したところ、予想に反して応募数が減少しました。通常に戻った今年度は、応募者数は例年の数に戻ったものの、ここ数年、インターネットアンケートは応募数が減り続け、対応の再検討が必要とされ始めています。

今回の結果は、応募数全体が増加したものの、毎年のことながら東北以北からの応募が少ないなど昨年と同様な傾向が続いています。これは、本来ゲンジボタルは寒冷地になるほど生息地は少なくなり、ホタルを観察できる人々も少ないことを反映しているためと考えられます。こうしたなか、ゲンジボタル生息地である青森県は、北限であるにも関わらず熱心な取り組みが継続されていることはとても素晴らしいと思います。

私が在住する神奈川県横須賀市は、温暖な地域で、至近距離に多くの生息地が存在します。しかし、人口が多く狭い地域であるため、生息地を広報することを控えていることから、実態がほたるキャンペーンに反映されないという実情もあります。

全国的には、モニタリングは進んでいると推測できるので、今後「学研ほたるキャンペーンに参画できない人」の膨大な情報をどのように取りこめることができるのかが課題となっています。

昨年の異常気象は、ほたるキャンペーン活動にも影響があったと思います。今後はこうした地球規模の気象変動がどのような影響をもたらすのかも注目していく機会となるかもしれません。

北海道にはゲンジボタルは生息しませんが、ヘイケボタルがほぼ北海道全域に分布し、注目されています。こうしたなか、昨年は北海道稚内において全国ホタル研究会が開催され、最北の地のヘイケボタルを観察できたことは大変感動的でした。ここでは、ホタルの発生数だけに注目するのではなく、厳冬を乗り越えて生き続けているホタルの生命力に人々は魅せられているように思います。こうした自然観が日本各地で子どもたちに受け継がれて育まれ、見守り続けられていることは心強いことです。

学研ほたるキャンペーンの目標はまさにここにあります。

日本の素晴らしい自然を保全・再生する上で、ホタルを通した国民的な活動を継続できればと願っています。

学研ほたるキャンペーンは、2019年に22周年を迎えます。これほど長く継続的活動が行われているのは世界で類を見ないものであり、参画している人々の大きな誇りだと思います。活動に参画することに意義があり、データの成果のみを目標としないことが大切です。

ホタルは、全国規模で環境省が実施している「モニタリングサイト里地1000」の事業のなかでモニタリング調査がなされています。私はホタルの専門委員としてこの事業に関わっていますが、モニタリングはこの事業以外に多面的に非常に多く、集積されています。これらの実態を統合的に捉えることが出来れば、飛躍的な自然環境保全・再生に大きく貢献できると思い、その糸口を探っていきたいと思っています。


監修:大場信義 プロフィール

大場蛍研究所所長、全国ホタル研究会名誉会長・理学博士
発光生物、特にホタルを中心に、日本全国をはじめ、海外でも発光行動や生態を調査し、比較研究している。『ホタルの里』(フレーベル館)『ホタルの木』『ホタルの不思議』(以上、どうぶつ社)など、ホタルに関する著書多数。主任学芸員を務めた横須賀自然・人文博物館を2006年3月に定年退職し、現在は、神奈川大学総合理学研究所客員教授、横須賀市長井海の手公園ソレイユの丘「ホタル館」顧問を務める。ホタルについての講演会や、ホタルを呼び戻す取り組みへの指導にも積極的に取り組んでいる。



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